第三十二回 「ついにSONYが動き出した」

番外編もご覧下さい。今回は次世代規格の話です。

▼先日(9/4だったかな)の「真・創作日記」でSONYがレーベルゲートCDのアルバム導入を廃止した(正確には「見送った」と言った方が正しいそうですが)事を書かせていただきましたが、それと同期してでしょうか、元ちとせのSACDハイブリッドアルバム「ノマド・ソウル」がついにリリースされました(初回版はDVD付きと、マルチメディアな雰囲気が漂っております)。CCCD化の推進を止め、次世代規格の推進に踏み込んだSONYは、他よりも一歩先を歩き始めたのではないでしょうか。今回は、SACDが次世代規格争いで有利な立場に立っているということについて書こうかと思います。

▼音楽ハードの次世代規格は現在、avexや東芝EMIなどが推進する「DVD-Audio(以後DVD-A)」と、SONYが主立って推進する「スーパーオーディオCD(以後SACD)」の二つの規格が、次の音楽ハードの主導権争いを行っています。両方とも「
高音質」と「著作権保護」を謳っているので、一見どっちがリリースされても代わり映えが無いように思えます。しかし、DVD-AとSACDの違いは「互換性」と「世間の各規格についてのイメージ」にあり、それが音楽ハードにおける覇権争いの鍵を握っているのではないかと僕は考えます。

▼DVD-Aの場合は、その名から分かるとおり「DVD Video」との互換性があります。DVD Videoプレーヤーで再生できるトラックを入れることで、専用プレーヤーの無い人でもDVDプレーヤーさえあれば楽しめるのです
(浜崎あゆみの「RAINBOW(DVD-A版)」がこれにあたる)。一方、SACDの場合はその名の通り、「DC(-DA)」との互換性があるので、CDプレーヤーで再生できるトラックを入れることで、専用プレーヤーの無い人でもCDプレーヤーさえあれば楽しめるのです(元ちとせの「ノマド・ソウル」がこれにあたる)。両方とも共通して言えるのは「専用プレーヤーが無くても従来のプレーヤーで楽しめる」事で、かつてのレコードからCDへ移行する時とはかなり違った状況です。従来のプレーヤーで再生できるという事は、レコード会社としてはわざわざ両方のバージョンをリリースする手間が省けるというメリットがあるし、消費者としては新しいプレーヤーを買わずに済むというメリットがあります。

▼ここで、世間一般に「CDプレーヤー」と「DVDプレーヤー」は、それぞれ何を楽しむものとされているのかを考えてみましょう。CDプレーヤーは当然「音楽を楽しむ」ためのものですよね。DVDプレーヤーはどうでしょうか。恐らく多くの人が「映像を楽しむ」もの
(もしくは「ゲームを楽しむもの」)と思っているのではないでしょうか。確かにDVDは「デジタル多用途ディスク」と言われるように、映像はもとよりゲームや音楽も何でも収録できる媒体ですが、世間一般では「ビデオに替わる映像記録媒体」のイメージがつきまとっています。最近はコンポでもDVDが再生できるようにはなりましたが、店頭でディスプレーする時には必ずテレビが接続されていますし、それと一緒に「テレビ(液晶モニター)は別売りです」という注意書きも必ずといっていいくらいに(小さく)書かれていたりするものです。DVDを音だけ楽しむという方もひょっとしたらいるのかもしれませんが、はたしてこの状況でDVDという規格が音楽ハードの主導権まで握ることが出来るのでしょうか?   ちなみに浜崎あゆみの「RAINBOW」のDVD-Aを見た人の中には、「DVDプレーヤーで再生してみたけれど、静止画しか流れなかったからつまらなかった」という感想を持った方もいるようです。もしアルバムをDVD-Aでリリースするのであれば、全曲プロモーションビデオをつけなくてはユーザーの支持が得られないのかもしれません。DVDと付くからには、映像の方を期待してしまうのがユーザーの意識にあるのではないでしょうか。

▼しかも、DVD-Aは現行規格のCD-DAとは何の互換性も無いので、次世代規格をDVD-Aにしようと考えているレコード会社は、「CD版」と「DVD版」の2バージョンを作らなければいけないという手間もあるのです。その上、DVDは再販制度の対象外ですので、レコード会社の収益が今よりも落ち込むことも考えられます。最近はDVDのリッパーも数多くリリースされているので、DVD-Aを採用することで著作権を守ることが出来るのかも疑問です。レコード会社としては、次世代規格DVD-Aを推進するには費用がかさむし、それだけ頑張っても著作権保護が危ういのではリスクが多いのではないでしょうか。

▼しかし、SACDは「音楽を楽しむ」ものであるCDプレーヤーでの再生に対応しています。専用プレーヤーの価格は、今の段階ではまだまだ消費者の手に届きにくいものではありますが、ユーザーの今使っているプレーヤーが壊れて、買い換えなくてはいけなくなった頃には専用プレーヤーが安く手に入ることも考えられます。しかしそうなるころまでは今まで使っているプレーヤーで音楽が楽しめるのだから、「
身の周りが知らないうちにSACDだらけになっていた」ということだって考えられるのです(HDCDと同じ位、地味に普及させることも可能なのではないでしょうか)

▼SONYがいちはやく次世代規格への一歩を踏み込んだのは、「いつまでもインチキコピーガードに頼ってられない」という思いと、「SACDがすんなり導入できる状況にある」という読みからなのではないでしょうか。一方、DVD-A推進派であるEMIやavexは黙々とCCCDをリリースしています。次世代になかなか踏み込めないことが、ユーザーからもアーティストからも「企業としての信頼」を失っていることに気づかないのでしょうか? たとえ分かっていたとしても、DVD-Aが「音楽の」次世代規格として広まっていく地盤が固まっていないので、どうすることも出来ないでいるのでしょうか。
 僕にはこれらの企業がDVD-Aにこだわる理由が分かりません。
規格が主流になった時に、ライセンス料で得られる莫大な利益の事しか頭に無いのでしょうか?


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