第五十一回 「Sっ気ムンムンな音楽業界-拘束プレイ大好き(はぁと)-


▼今回、ちょっぴりR指定なタイトルにしてみたわけですが、最近の国内外の音楽業界の動向に腹を立てているので、ちょっぴり皮肉を込めてこのタイトルにしてみました。今回は、最近ちょっぴり話題になっている輸入権の問題と、アメリカSunnComm社がイギリスDarknoise Technologies社買収によって新たにGetした音楽コピー防止技術について触れていこうかと思います。


▼韓国では、先月から日本語のCDが発売解禁となりました。実は解禁前にも、日本人アーティストの歌っているCDはちょこっとずつ売られてはいたのですが
(Crystal Kayや倉木麻衣の英語アルバムやコンピ盤など)、日本語で歌われているCDが全面的に開放されたのは初めてのことです。これにより、韓国で日本語の正規版CDが市場に出回ることになり、日本のレコード会社は大喜び、 …のはずでした。海賊盤が出回らなくなった上に、自分達のアジアでの市場が広くなったので彼らにとってはメリットのはずです。しかし、アジア市場を考えていく上で忘れてはならない事が一つあります。それは『物価』の問題です。


▼アジア圏は日本と比べて物価がすごく安いのです。よく100円ショップに行くと、「こんなに良く出来たのがどうして100円で売れるの?」なんて商品を良く見かけるのですが、100円ショップで売られている商品の多くはアジア圏で生産されています。物価が安いアジア圏では、当然人件費も安くつくので、商品を驚くほど安いお金で生産でき、販売する事が出来るのです。その現象はもちろんCDにも現われています。韓国で売られているCDを取り扱っているインターネットショップの「セトネット」さんでは、日本の小売店では3059円もするアルバムを1300円で購入する事が出来ます。もちろんこれは、ただ韓国のほうが物価が安いというだけでなくて、韓国には「再販制度
こらむ第八回参照のこと)」がなく、店ごとにCDの価格を自由に決められるという要因も絡んでくるわけですが。これに関してレコード会社がどういうアクションを取ったのかは、こらむ第四十六回に記したとおりですが、どうやら2005年までに、海外版の輸入を禁止する方向に行ってしまうようです。そかもこれ、日本の逆輸入版に限らず、日本では売られていないものにも制限を欠けるかもしれないという話もあるのだそうです。これが、レコード会社の主張する「輸入権」の現実です。


▼今度は新しいコピーコントロール技術の話。この記事は既にこらむの掲示板でも話題になりましたが、アメリカSunnComm社が新たなコピーコントロール技術を開発(というより獲得)したようです。そのコピーコントロール技術とは、スピーカーの前にテープレコーダーを抱えて録音したとしても
(って、一体何年前の話なんでしょう?)、変な雑音が入って聴けたモンじゃなくしてしまうという、『Darknoise』というものです。これまたおどろおどろしいネーミングです。このDarknoiseというものは、楽曲の音に不可聴音をしのばせ、その楽曲をいかなる方法でコピーしても忍ばせた不可聴音が可聴音となり、音楽として聴けなくなってしまうという技術です。これまでの技術は、音声トラックの読み込みにアプローチしたものでしたが、今回はCDに収録された音そのものをいじってしまうというものです。Darknoiseを開発獲得したSunnCommのCEO、ピーター・ジェイコブズ氏は、「適切に(楽曲が)利用されていれば雑音は入らないが、不正にコピーされると入る」とコメントしています。ウォークマンからはじまりiPodへと発達した携帯音楽文化の中で、「適切な楽曲の利用」というのは一体どのような事を指し示すのでしょうか?


▼消費者から音楽を自由に購入できる権利を奪い、音楽をどこでも手軽に聴く事の出来る権利を奪う。そうやって消費者の行動範囲を狭め、縛り上げるのは正に音楽業界の拘束プレイなのではないでしょうか。屈折した愛に走り出したこの商業的音楽業界、一体いつまでもつのでしょうか? 最後に、3月に
本人に了承を得ずに急遽発売が決定したmoveのDVD付ベストアルバムについてコメントしたプロデューサーのt-kimuraさんのコメントを一部紹介したいと思います。


オレは知らんよ。断ったはずだ。
こんな時期にベストなんて出したくねぇってんだ。
今月出るDEEP CALMが今のBEST ALBUMなんだけどな、
いったいどうなってんだ?
いい加減バブル気分を捨てきれない音楽業界の茶番劇には幕を下ろして未来へ向かって欲しいもんだ。

(途中省略)
誰を否定している訳でもないのだが
過剰な証券至上主義な旧体制が音楽活動を「必要以上」に
ややこしくさせているのは問題だ。


(moveオフィシャルホームページ Letter Fron moveから 2004/01/10付のt-kimuraさんの日記
「あけまして毒吐き。」より)


アーティストさん達はいつまでついてきてくれるのでしょうか。レコード会社はこの叫びをどう受け取っているのでしょうか。


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