第四回 「CCCDを施さなくても売れるものは売れる。が、…」


▼昨年のミリオンヒットシングルは浜崎あゆみのHだけという、悲惨な状況になってしまいました(レコード会社にとっては、ね)。その頃のマスコミでは、宇多田ヒカルのSAKURAドロップスとの売り上げを比較して(惜しくもミリオンに届かなかったものです)、「浜崎はCCCDであったので売れたのだ。これでCCCDの効果は実証された」と報じたのです。単純にこの二つのシングルを比較すること自体間違ったことなのですが(宇多田の場合、アルバム発売が近かったためにシングルを買い控えた人がいたことが考えられるし、浜崎の場合は4タイプのジャケットを出した上、実質ミリオンに達する前にリリースされた「ミリオン達成記念版(まだ達成してなかったのにね、このときには……)」の売り上げが足されたことも考慮しなければならない)、シングルに関しては「浜崎だけがミリオンを達成した」という事実があるため、この記事を「間違いだ」ということができなかったのです。


▼しかし、とうとうこの記事の誤りを指摘できる出来事がおこったのです。
SMAPが2003年の3月5日にリリースしたシングル「世界にひとつだけの花」がミリオンを達成することになったのですSMAP新曲が03年シングル初ミリオン参照)。ちなみにこのシングル、CCCD導入を決めたビクターからリリースされたものですが、通常のCD-DAで発売されたのです。ドラマの主題歌で大反響を呼んでいて、毎日10万枚の追加注文があるそうです。とてもいい曲です。……マッキーのカバーなんだけどね。


▼CCCDはパソコンユーザーにとって利便性に欠けたものです。
それが原因でかえってWinMXやWinnyに手を出したという人が増えているそうです。当初のレコード会社の目標であった「ファイル共有ソフトによる違法コピーの蔓延を防ぐ」は、達成されないどころかそれとは反対の方に向いているのです。これはどういうことなのでしょうか?たしかに著作権の面で言えば、著作物を守る技術は必要です。ですが、音楽CDは著作物であると同時に商品なのです。利用するのに不便で音質が低下しているなんて、まるで賞味期限切れの肉をラベル張り替えて普通の肉と並べて売ってるようです。


▼さて、SMAPのミリオン達成が何を意味しているのか。それは、「
下手にCCCDにしなくてもいい物は売れる」ということなのです。これ、表面的にはいいことだと思いますが、裏から見れば悲しい現実が見えてくるのだと考えます。CCCDは、3回目で取り上げた吉田氏の言ったことと重なりますが、「CCCDを導入することで世間に著作権に対する認識を深めてもらう」という目的も含まれて導入されたのです。しかし、「CCCDでもなんでもいいや」という無感心な国民が多いことが、WinMXやWinnyに走ってしまったり、CCCDであるかどうか関係なくCDが売れたり売れなかったりしていることを引き起こしているのではないでしょうか。一部ではCCCDに関する議論が激しく行われていますが、世間一般では残念ながら、依然として「CCCDって何?」程度の認識でしかありません。著作権云々を言う以前に、世間に対して著作権に対する認識を深めてもらう積極的な努力が、レコード会社に求められます。



                                                                                     つづく


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