第二十七回 「レーベルゲートCDだけが抱えている危険性」
▼結局アルバムへの導入に至らなかったレーベルゲートCD(以後LGCD)。一部では「次世代規格への踏み台でしかない」という話もあるCCCDですが、その中でもLGCDは、「踏み台」で終わらせてしまっては困る事情をはらんでいるというのです。今回は、長期的に見たLGCDの危険性について書いてみようかと思います。
▼まずは、LGCDをパソコンで聴くためのステップをまとめようと思います。
@インターネット接続していることを確認し、LGCDをパソコンのCD(DVDでも可)ドライブに入れる
LGCDの中には、パソコンで聞くための音源と、聞くための専用プレーヤー(MAGIQLIP)が入っています。しかし、専用プレーヤーを使うためにはQuickTimeのバージョン5.0.2以上が必要になります。ちなみに、インターネットに接続できる環境が整っていないパソコンでは、(ライセンスを取得する関係上)再生することができません。
Aライセンスダウンロード
IEが自動的に立ち上がり、ライセンスダウンロードの手続き画面が表示、ステップどおりに踏んでいくとダウンロードされます。この前に、もしQuickTimeやMAGIQLIPがインストールされていない場合は、自動的にインストールされます。ちなみに一回目は無料ですが、それ以降は有料になります。
B音楽がパソコンで楽しめるようになる
これ以降のインターネットの接続は(音楽データかライセンスが消えた場合を除き)必要ありません。
▼上の手順はLGCDにすべて折り込まれているチラシに書かれているのでご存知の方もいると思いますが、意外と見落とされている大事な一文がこのチラシに書かれています。それは
「パソコンでの複製に必要なインターネットでの認証手続きは、事前の予告無く、中断・中止・サービス内容の変更などを行う場合がありますので、予めご了承ください」
この一文です。上でまとめてみたステップは、あくまで現時点で可能なことであって、もしSME(Sony Music Entertainment)がつぶれてしまったら、ライセンスダウンロードすら出来なくなり、せっかく買ったCDがパソコンで楽しめなくなるという事もありえるのです。もしくは、「初回ダウンロードは無料だから」と思ってディスクを入れたら料金を請求されてしまったということも考えられるのです。LGCDのシステム維持には、今後のSMEの業績次第という不安定な条件もついているのです。業績がどうであっても、SMEがもし次世代規格に完全移行してしまったら、LGCDのサービス提供は自然消滅するでしょう。その時、ライセンスを取得したいと思ってサーバーに接続しても…
▼今後ともLGCDで行くというのであればこの様な問題は発生しないのでしょうが、音楽ユーザーの(少なくとも)一割が「CCCDだったら買い控える」というこの状況で、SMEはそんな決断をするのでしょうか? CDは半永久的に残るのに、そこに添付されているサービスはいつ終わるか分からない。こんな不安定な商品が売られていて良いものなのでしょうか?
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